2014年12月6日土曜日

ジグソー法

今日は朝から「学びのイノベーションフォーラム」というのに参加してきた。

学生主体の教育形態であるアクティブラーニングが叫ばれて久しいけれども,
最近ちょっと思うことがあって,
アクティブラーニングやら反転授業やらといったことについて,
いろいろ調べたり考えたりしている。
何を思ったり考えたりしているかは,大人の事情で詳しくは話さないけれども (^^;;

さて,今回これに参加した一番の動機は,午前中に行われた
ジグソー法」のワークショップに参加すること。

ジグソー法というのは,まさに学生主体の授業形態の一つで,
授業の中で,異なる教材で学んだり,資料を読んだりした学生が
それぞれ得た情報を交換し合い,議論する中で,知識を獲得していくというもの。
ちょうど,ジグソーパズルの違ったピースを持ち寄って,
一つのものを作り上げていくようなイメージ。
より正確には知識構成型ジグソー法と呼ぶべきものらしい。

いろいろな実践例,実践法があるようだが,
今回のワークショップで採用され,僕が実体験してきたものは次のようなもの。
(各項目の赤字は今回のワークショップで使用された実例)
  1. 「つかみ」が提示される
    (例) 濡らしたペットボトルに,火のついた線香を入れた後,
      ピストンで中の空気を抜くと,ペットボトルの内部に
      「くもり」が生じる様子を観察する。
  2. 問題が提示される
    (例) 「雲ってなんだろう?」
  3. 授業前に自分の考えをまとめる
    (例) 雲とは科学的にどのような現象か,自分なりに考えてみる。
  4. 各学生グループ毎に異なる教材が与えられ,それに目を通す。
    (例) 全体を3つのグループに分け,それぞれのグループに次の教材を提示
      「空気の体積と温度」「空気中の水蒸気と温度」「すがたを変える水」
  5. 同じ教材を得た学生が小グループを作り,2. で提示された問題を議論する。
    (例) 上の3つの教材ごとに3〜4人のグループで議論。
  6. 異なる教材を得た学生で小グループを作り,2. で提示された問題を議論し,
    グループとしての考えをまとめる
    (例) 異なる教材を得た3人が一つのグループを作り,議論。
  7. 各グループが議論した結果を発表し合う
    (例) 雲が科学的にどう発生するかを発表し合う。
  8. グループでの議論や発表を聞いて,自分の考えを整理する(レビュー)
    (例) 各学生が雲とは科学的にどのような現象か,考え直し,
      授業前の3. で考えたことと比較する。

今回のお題は中学校1年生くらいを対象にした理科だったのだが,
これはお題の設定によっては,いろんな科目でも実践できそうだ。
なるほどね,と思ったね。

今回の参加者は,小中高の先生なんか,つまり大人がメインだったので,
こういう物理的な現象にはそれなりに固定観念があったりするんじゃないかとも
思ったんだけど,7. のグループごとの発表では結構いろいろな見解が出てきて
面白かった。楽しかったね。

ただ,正しい答えが一つしかない問題を考えたりするときにどうすればいいかとか,
試験で合格点が取れるような学習がこれで可能なのかとか,
そういう不安を覚える向きもあるかもしれない。
だけど,そこが教員側の腕の見せどころで,お題の設定,教材の作成をうまくやれば,
いろんなことができるんじゃないかと思う。

もちろん,同じ科目の中でも,この方式が適したケースとそうでないケースはある。
この授業はアクティブラーニングですよ,と謳ったとしても,
その日の内容によって,いろいろな手段があるから,単元の内容によって
何がふさわしい方法かを見極めるのも教員に求められるスキルなんだろう。

さらには,学生の発表を聞いたり,議論の内容を観察する中で
教員側が新しい問題に気づいたりすることもあるだろうなぁ,と想像した。
この辺も面白いところだろうね。


最初に,僕は最近いろいろ思ったり考えたりすることがあると言ったけれど,
結果として,自分の考えを確認したり,新しい発見があったりした。
いくつか情報収集もできた。
今回のワークショップは,いわゆる中等教育,
小中高をターゲットにしていたように聞こえたけれど,
これって別に大学や高専のような高等教育でも十分に実践できると思う。
その意味で,今回は参加してよかったね。それなりの成果が得られた。


ここまで読んで興味を持った人は,
以下のページを見てみるといろいろ資料が置いてある。
なかなか面白いものも転がっているよ。


 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)


さてさて,これをこれからどう料理しようね。


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