2012年12月27日木曜日

仕込み,ツカミ,オチ

さて,僕らの仕事は落語家みたいなもんだとか,前にここでも書いたような気がするが,今日はそんな話。

やっぱり,授業をする前には,ネタの仕込みが必要なのよね。毎年同じ科目を担当していても,聞いている学生は違うし,ノリも違う。そうすると,やっぱり,その都度,それなりの仕込みが必要になる。

そして,高座(教壇)に上がると,まず,最初のツカミが重要なのだ。こっちに注意を向けて,「これから何が起こるんだろう?」と思わせる工夫ね。で,授業の最後には,90 分なら 90 分のストーリーをまとめる意味で,オチをつけなくちゃいかん。オチがバシッと決まって,

おあとがよろしいようで

ってとこで「また,来週!」となる。やはり,ツカミとオチが決まるかどうかも,事前の仕込みにかかっているわけだが,仕込みが十分にできずに本番を迎えてしまうこともあるし,十分に仕込んだつもりでも,うまくツカメなかったり,ラストでスベることもある。

ここ 1 ヶ月くらいの間に,そんなことをいろいろ思ったので,今日はその話を書いてみる。

11 月 23 日に中学生向けの公開講座

ひらめき☆ときめきサイエンス
ミッション IH(M:IH) ~守ろう情報,伝えよう秘密のメッセージ~

というのを実施した。これは科研費で得た成果を小中高校生や社会に還元しようという学振の事業の一環で,内容としては,簡単な暗号に関する講座と,データハイディングの手法を用いて,好きな画像の中に秘密のメッセージを埋め込んで友達に送る,という実習の 2 本立て。 暗号の方は,これまでも何度も行なっているもので,こちらも慣れたものなんだが,データハイディングの方は今回が初めて。しかも,事前の仕込みが十分にできず,中学生が操作するにはインタフェースが複雑すぎる,ということもあった。ツカミはそれなりにうまく行ったと思うんだが,ちゃんとオチたかどうかは微妙だったように思う。やっぱり仕込みは重要だと再認識した次第。それでも,参加者アンケートはまずまず好評だったので,少し救われたが,今後に課題を残した。

月が替わって 12 月 1 日と 2 日には,英語で講義を行なうための研修というのを受けた。これは高専機構の改革推進経費というので,来年の夏にウチのガッコで日本人講師が外国人学生向けに英語でサマースクールを実施するという事業の一環。2 日間かけて,たとえば,自分の分野に近い授業のビデオやその transcript を探してきてコーパス解析をするとか,実際に自分が行なう講義の構成を分析するとか,そんな内容。研修の最後には,参加者がそれぞれ講義の短縮版のようなミニトークを行なって,それぞれが採点をしたり,コメントを与え合ったりした。実は,ここでも 10 分くらいステガノグラフィに関する内容をしゃべったんだが,メルボルンで在外研究をしている間にやった講義のスライドを抜粋して作ったものを使った程度で,しゃべりに関してもほとんど仕込みはできていなかった。英語もこなれていなかったし,自分としてはかなりイマイチだったんだが,トークのツカミの部分やオチを含め,講師の先生や他のメンバーからの評価は思った以上に高かった。ちょっと拍子抜けしたけれど,自分としてはかなり納得が行っていないので,来年の夏までにもう少しネタに磨きをかけなければ,と思っている。

一方,他人の授業を聴く機会もあった。12月8日に子供が通う小学校の授業公開があったので,上のムスメの理科の授業を見に行った。内容はいろいろな物体を通して,豆電球がつくかどうか?という実験。小学校の先生も,特にこういう時には仕込みをしっかりやるんだろうなぁ,と思わせた。金属は電気を通すが,それ以外は通さないというような通り一遍の授業が終わった最後に,

先生の服は電気を通すかな? 

と先生は質問。子供たちは,そろって「豆電球はつかない!」というが,先生は短い休み時間に体と服に導線を巻きつけていたみたいで,見事に豆電球は点灯。オチの迫力は十分だった。でも,中身がちょっと物足りなかったな。子供たちがどの物体は電気を通すか,通さないかというのを挙げていったときに,ある女の子が「ビール缶の底の部分!」と言ったのに,先生は黒板に「ビールの缶」とだけしか書かなかった。

そうじゃないだろ?

缶の横なんかは塗装があって実は通電性は低いが底の部分はアルミ剥き出しなので,電気を通す。そこに子供が気づいたんだから,それをくみ取ってあげなくちゃ!オチは良かったがアドリブが効かなかった例。余裕がなかったんだろうか?確かにアドリブはもう一歩高度な技だけどね。

お次は,僕の年内最後の授業の話。12月19日のこと。この日の僕の「情報理論」の授業は,事情があってビデオ撮影が行なわれた。同僚のクロダ先生が授業改善プロジェクトというのをやっていて,その一環で希望者の授業を撮影してくれるというので,ためしに撮ってもらうことにした次第。内容としては,かなり数式をガリガリやる回だったので,絵的にはイマイチなんだが,まぁ,いろいろな事情を勘案してこの日にしてもらった。自分が授業で話しているのが,客観的にはどのように見えているのかを一度見てみたかったしね。芸人が同じネタを何度やっても,毎回,少しずつ違うように,あるいはミュージシャンがライブで同じ曲を演奏しても,その時その時で微妙に違うように,僕らの授業も,同じ内容でもその時によって如実に違う。だから,録画した媒体は,あくまでも2012年12月19日の「情報理論」の第11回目の授業の様子を切り取ったものに他ならないし,授業としてのクオリティはライブには絶対叶わない(この辺のことも前に書いてる)ので,撮影されたビデオを教材として利用することは,あまり積極的には薦めない。ただ,自分としてはその時の立ち位置だったり,目線だったり,自分が授業するときに癖みたいなものを客観的に見てみたいと思ったわけ。実は仕込みそのものはあまり十分ではなかったし,オチというオチも付けられるような内容でもなかったので難しくはあったんだが,年明けにはビデオを見られるようなので,それを見たらまた報告しようと思う。

さて,それで今日なんだが,今日の夕方から北大で Imagine Cup の話をしてほしいと頼まれている。というわけで,この 2 ~ 3 日,時間を見つけて,仕込みの作業をしていた。ビデオ素材 3 本を含めて 50 ページくらいのスライドができあがり,何度か通してみたので,仕込みは OK。ツカミとオチも用意しているので,これがうまく機能するかどうかは,今宵のお楽しみ。

さぁ,もう 1 時間もしたら出動だなぁ。


2012年12月24日月曜日

豪雪

1か月ぶりの更新です。
この間,いろいろありましたが,その辺はまた別途 (^^;

実は,この週末から札幌にて隠遁生活を送っております。
もちろん,ぼちぼち仕事もしています。

今年の札幌は雪が多い。

実家の前にも巨大な雪が山のように積もっておりました。
道路脇だから危ないんだが,子供たちにはいい遊び場だったり…


実家近くの公園も 50センチ以上の雪が積もり放題積もっている状況で
子供たちは大フィーバー。


雪山作って遊ぼうということで,公園の雪だまりを開墾しました。


今日の雪はサラサラでなかなか固まらなかったのだが,
頑張って山作って踏み固めて,トンネルまで作りました。


僕ならマズいだろうけど,子供は上に乗っても陥没しませんでした。

2時間程度の除雪(?)作業でした。