2013年8月9日金曜日

水際の攻防

今年の10月に東京で,情報通信のための信号設計に関する国際会議(IWSDA'13)が開催される。
一応,僕もプログラム委員長(Program Co-Chair)としてお手伝いさせていただいている。ちょうど,今,投稿された論文の査読プロセスの真っ最中で,来週末までには,著者のところに査読結果が通知されるような予定になっている。

さて,こんな仕事をしていると,時々変な問い合わせが来たりする。多くは,ウェブサイトの作成・管理を請け負います,だとか,エクスカージョンなどソシアルプログラムの運営をアウトソーシングで引き受けます,だとか,商的なメールだったりする。我々の会議の場合,規模も決して大きくないし,自前でなんとかできるくらいなので,その手は基本的にお断り。

そんな折,海外からとあるメールが僕のところに届いた。曰く…

私はカトマンズに住む xxxx というネパール人で,
国際会議 IWSDA'13 に非常に関心を持っています。
私のような発展途上国からの参加者からすると,
参加料がとても高く,それが問題となっています。
会議に参加し,参加者と有意義な議論を深めるために,
私の参加費を免除してもらえませんか?
私はこの分野に造詣が深いですし,
幅広い参加者を集めることは会議にとっても有意義だと考えます。
ご検討くださいますよう,お願いいたします。

みたいな…

うぅむ。そもそも,僕は君のことを知らない。所属や経歴だけでなく,どういう素性の人かすら,メールの内容からは類推できない。自称「造詣が深い」と言われてもねぇ…はっきり言って,この段階では単なる不審者にすぎないわけだよ。まぁ,キッパリとお断りすれば,彼らが次の段階に進むことはありえないんだけど。

実は,僕は4年前に行われた同じ会議 IWSDA'09 でもプログラム委員長をやっていたんだけど,その時にもこの手のメールを何度か受け取った。多くの場合,彼らの目的は会議に参加することなどではなく,日本に入国することであって,一旦,入国してしまえば,その後,どこで何をするものやら,まったく想像ができない。危ないことこの上ない。4 年前にもらったメールはもっと手が込んでいて,

参加費は当日払うから,入国するためのビザ手続きだけをしてほしい。

と言うものだった。書類を発行しようものなら,会議になんか来ないだろ?金なんか払わないだろ?ってことだ。

ということで,今回も次のようにハッキリとお断りしました。

残念ながら,ご要望にはお応えできません。
参加費を免除することだけでなく,
招待状やビザ関係の書類を発行することも不可能です。

こういうことは誤解やスキを与えないよう,毅然としなければならない。
しっかし,キナ臭いよなぁ。

金を払わないから,断るのも簡単だけど,これがバックに黒幕がついてて,金を払うから会議に参加させろなんつう場合は(ほとんどありえないと思うが)判断が難しいよなぁ。そんなのが入国して,国内で何かをやらかしたら,招待状を発行したこっちにも責任が生じかねないよね。

くわばら、くわばら…


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