2013年4月8日月曜日

続編

前にもここで紹介したが,僕の高校の先輩でもある佐々木芽生監督の映画

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物 (Herb & Dorothy 50×50)』


を見てきた。

前にも書いた通り,この映画は,アートコレクターである Herbert & Dorothy Vogel 夫妻を追ったドキュメンタリー。彼らが集めた 4,000点にものぼるコンテンポラリーアートのコレクションを全米50州の美術館に50作品ずつ寄贈するプロジェクトの顛末を描いたのがこの続編である。

すでに書いたように,僕は前作を見たとき,アートコレクターがやっていることというのははポップミュージックでいうところのサンプリングに近いように感じた。コレクターの手によるアートコレクションも,コレクター自身の主観に基づくアート作品だと考えることができるんじゃないかと思い,これってある意味,ヒップホップカルチャーに通じるよなぁ,と書かせてもらった。前作は,彼ら自身と彼らのコレクションについてユーモアたっぷりにイントロダクションを行なった,と言える内容だったので,僕も映画を見ながら,彼らの人となりや,コレクションそのもののユニークさを存分に楽しませてもらった。

一方,この続編は,彼らのコレクションが全米の美術館に寄贈される様子を追ったものだが,作品そのもののテイストは前作と微妙に変わってきている。もちろん,ユーモラスな部分が少なくないんだけれども,それ以上にじーんとくる

そもそも,彼らのコレクションには一風変わったコンテンポラリーアートが多く,かなりアートに造詣の深い向きでないと目にする機会がないようなものも少なくないと思う。ところが,全米の美術館にこれらを寄贈するということは,これらの作品群を目にする機会や目にすることができる人々の数を爆発的に増やすことにもなる。彼らが集めてきたものが一部のマニアのものではなく,子供たちを含め,多くの人たちの目に触れることで,二人の「偉業」が,これまでとはまた違った側面を持ったようにも思う。まさに,この映画は彼らのコレクションの未来が映し出されたような作品になっていると思う。

その意味で,ハーブが言うように,彼らは現代アートの歴史に大きな足跡を残したのだんじゃないだろうか。

この映画,製作と配給のための資金をクラウドファンディングで調達したんだけれども,結果は,想定を超える金額が集まったそうで,この手のクラウドファンディングでは史上最高額を記録したんだそうだ。それだけ,この作品(と前作)に思い入れを持った人が多いということを意味しているんだと思うし,両作品を見た今,心から多くの人に見てほしいという気持ちになっている。

というわけで,未見の方は是非,劇場へ足を運んでみてください。
(もちろん,リピーターもね。)

ちなみに東京では,新宿ピカデリー東京都写真美術館ホールで見られます。
札幌はシアターキノで 4月13日 から。その他,全国の上映情報等は公式サイトで!

僕もちょっとだけ資金援助させていただいたので,エンディングでちっちゃ~く,名前を出していただきました。ありがとうございます m(_ _)m


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