2021年3月10日水曜日

FD

 FDってありますよねぇ。Faculty Developmentの略です。

って言われても大学の先生くらいにしか通じないんですかね?

定義としては大学教育の質改善のための取り組みのことを言うんだけど、年に何回か、そういう機会があるんですよね。学校の中でも外でも。ちなみに文科省の定義では「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」。

僕のいる高専は大学ではないけれど、大学と同じ高等教育機関にカテゴライズされているわけよね。

で、FD。

一般的には、授業の内容なんかについて研修を受けたり、教員間でディスカッションしたりするような取り組みを指すことが多い。

そういうのに参加するたびに思うことなんだけど。これって、呑み会でやっていることと同じよね。

同僚とか同業者と呑み会やると、もちろん、バカ話することもあるんだけど、ちょっと真面目に教育問題とか話すこともあるわけ。それってまさにFD。

コロナのおかげで、FDも最近はオンライン一本やりになったんでつまらんよね。

呑みながらやったら、議事録に残せないあぶない話もできるから、意外と効果的なんだけどね。最終的に話をどうまとめるかはともかく、いろんなアイディアは、あぶない極論を交わした方が出てくるよねぇ。

早くそういうのができるようになるといいよねぇ。


というわけで、早く呑み会やりたいなぁ、という話でした。

2021年3月4日木曜日

延長

 去年の5月,オーストラリアに行く予定があって,某宿泊予約サイトでホテルの予約を行なったのだが,新型コロナウイルス感染症の影響で,当然ながら,行けるはずもなかったのだった。

で,ホテルはキャンセルしたのだが,そもそもキャンセル不可の予約だった。とは言え、不可抗力でキャンセルせざるを得なかったので,どうなったかというと,同じ金額のクーポンが発行されて,本来の宿泊予定日からちょうど1年後まで同じ宿で使用可能という条件付きだった。

この時点でかなり使いづら!って感じなのだが,世界の状況は特にあれ以来変わるでもなく,今年の5月までに渡豪できる見込みもない。

これでクーポン期限切れの連絡でも来たら,クレームつけてやろうと思っていたら,今日,クーポン期限延長の連絡が届いた。

ということで、今年いっぱい延長された。

うーーん、どうかな?

行けるといいけどねぇ。

2021年1月26日火曜日

嵐からの隠れ家

今,ウチのガッコの僕らが入っている建物でトイレの改修が行なわれている。

トイレが新しくなるのは歓迎なのだが,これがなかなか悩ましい。

まず,古い建物で電力の容量も乏しいので,冬場でもできるだけエアコンを使わずに過ごしている。すると寒いからやっぱりトイレは近くなりますよねぇ。年齢的にもねぇ。

で,トイレに行くときはどうするかというと,僕のいる4階から1階に降りて建物を出て別の建物に入り,そこで用を足すというわけ。これ,1日に何回もやると,ホントやってられなくなる。

そもそも居室も寒いし,トイレも面倒くさいし,コロナもアレなんで,対面型の授業も会議もない日は在宅勤務にして自宅に引きこもっている方が快適。実際,そうしている。

ただ,授業の動画を作ったり編集したりするときは,学校のデスクトップPCの方が効率がいいので,どうしても教員室でやることになる。

しかし,ここでもまたトイレ問題が邪魔をする。

トイレの改修というのは,一旦全部解体して作り直すようで,今,トイレの解体作業が絶賛進行中なのである。しかも,僕の居室はトイレの真ん前にあるので,不定期にドリルなどの激音が鳴り響く。

結構,これだけでも劣悪な就業環境ではある。

しかも,オンライン授業用の動画を作っていたりすると,ものすごい雑音が入るので,もう,まったくもって仕事にならない。はっきり言って営業妨害。てか校務執行妨害。

というわけで,そんな時は図書館とか別の会議室なんかを予約して,そこで録音作業をしている。

もう勘弁してよ。

授業もあと2〜3回で終わるので,授業コンテンツを作るのもあと2〜3週間の話なんだろうけど,トイレに行くのがめんどくさい問題は春まで解決しない見込み。

ということで引きこもりハーフ生活,もう少し続きそうです。


2020年10月11日日曜日

2020 Major Revision

ビアスタイルガイドラインというものがある。

ビールの官能評価,特に審査会などでビールを評価する上で,その種類(ビアスタイル)を明確に定義したもので,審査はこれに基づいて行なわれる。

僕がお手伝いさせていただいている日本地ビール協会では,米国のWorld Beer Cupで用いられるガイドラインを日本語版に再編集して発行している。World Beer Cup が2年に一度,偶数年に開催されるので,それに合わせて日本のビアスタイルガイドラインも2年に一度改訂されるというわけ。

よく聞かれるので,もう少し正確に説明すると,World Beer Cupの主催団体であるBrewers Association(BA)は毎年,ビアスタイルガイドラインの改訂を行なっており,過去数年のものも含めてウェブ上で公開されている(以下これをBAのガイドラインと書く)。実際にWorld Beer Cupや毎年秋に開催されるGreat American Beer Festivalで用いられるガイドラインは,このウェブ公開版とは若干異なっている。しかし,内容的にはそれほど大きな違いはなく(逆に言うと,微妙な違いはたくさんある),米国を中心とした世界のトレンドがどうなっているか,ガイドラインからもうかがい知ることができる。


ということで,日本地ビール協会による2020年版のビアスタイルガイドラインが完成し,僕の手元にも届いた。2004とあるが,これは2004年ではなく,20年4月版の意味。

世界の(正確には米国から見た世界の)トレンドに合わせて,ビアスタイルは時代とともに変化する。毎回の改訂で定義の内容が微妙に変わるものもあれば,新しいスタイルが定義されたり,または削除されたりすることもある。典型的には,非常にポピュラーになってきて多くの商業サンプルが出現した場合はスタイルに加えられることが多く,そうでない場合は消滅したり,他のスタイルと融合したりすることがあるといった感じ。

歌は世につれるが,世は歌につれない

と言ったのは山下達郎だったかな?実は,ビアスタイルも歌に似たところがある。ビアスタイルも世相を反映して変化を繰り返す。残念ながら,ビアスタイルが社会を変えるというのはさすがに言い過ぎだと思うけれど。


さて,というわけで,今回の改訂での大きな変化を見てみようと思う。

(1) ジューシーまたはヘイジーIPAなどの追加:

具体的には,

 ・ジューシーまたはヘイジー・ペールエール

 ・ジューシーまたはヘイジー・ストロング・ペールエール

 ・ジューシーまたはヘイジー・インディア・ペールエール

 ・ジューシーまたはヘイジー・インペリアル・ペールエール

が新たに追加された。ここ数年ポピュラーになってきたスタイルだが,BAのガイドライン2018版から掲載されているものが今回こちらにも反映された。

(2) 近年のトレンドを反映したスタイルの追加:

 ・インディア・ペールラガー(IPL)

 ・エマージング・インディア・ペールエール

 ・スペシャルティ・ベルリーナ・ヴァイセ

が追加された。IPLはホップを通常よりも強く効かせたラガー,特にフレッシュなホップを用いたものが該当する。エマージングIPAには,"emerging"という言葉からもわかるように最先端の様々なIPAが含まれる。例えば,ホワイトIPAやブラックIPAはもちろんのこと,ブリュットIPAやミルクシェイクIPA,フルーツやスパイスを使ったIPAなども含まれる。ただ,フルーツビールやハーブまたはスパイスビールも別で定義されているし,ブラックIPAの場合は,アメリカンスタイル・ブラックエール(カスケーディアン・ダークエールとも呼ばれるもの)などとオーバーラップするようにも見えるので,これらとの区別は注意が必要。ガイドラインの定義をよく吟味すると,その違いも見えてくる。要は,より「尖っている」ことがこのスタイルに求められるのかな?というのが,僕の理解。スペシャルティ・ベルリーナ・ヴァイセはフルーツやハーブ・スパイスを用いたサワーエールで,これも近年米国を中心にポピュラーになってきたもの。これらはいずれもWorld Beer Cup 2020用のガイドラインで初めて定義されたものでウェブ版のBAガイドラインには掲載されていない。唯一,BAの最新版ガイドライン(2020)では,エマージングIPAに相当するものは掲載されているが,名称はエクスペリメンタルIPAに変更されている。おそらく,「エマージング」という語は今はいいけれども,数年経つと必ずしも当てはまらなくなることを考慮した変更だろう。日本語版でも22年以降は変更になることが予想される。

(3) 実験的ビアスタイルの統合:

日本版ガイドラインでは,エクスペリメンタル・ビールやスペシャルティ・ビールがフリースタイルに統合された。従来,日本のガイドラインではフリースタイルエールやフリースタイルラガーが定義されてきた。BAのガイドラインにはこれらは存在せず,その代わりとして,特殊な発酵性原料を使用したスペシャルティ・ビールや通常使用されない技法や原料を使用したエクスペリメンタル・ビールというスタイルが定義されている。これらは現在でもBAのガイドラインでは定義されているが,日本独自に掲載されてきた「フリースタイル」との区別が明確ではないため,日本版では「フリースタイル」に統合されたというわけ。

(4) 日本独自のビアスタイルの誕生:

今回の改訂で柚子ビールが新たに追加された。フルーツビールやさまざまな柑橘系フルーツを使ったビールが日本をはじめとするアジア各国でもポピュラーになっている。アジア発,とりわけ日本発のクラフトビール文化のプレゼンスを高めることを鑑み,柚子ビールがフルーツビールとは独立したスタイルとして初めて定義されることになった。BAのガイドラインや World Beer Cupのガイドラインにはまだ掲載されていないスタイルで,世界に先駆けて日本から発信したスタイルということになる。将来的には他にもこのような新しいスタイルが日本やアジアから発信されていくかもしれない。従来からBAのスタイルにも含まれている酒イーストビールのように,いつの日か柚子ビールも世界標準になってくれると嬉しいよねぇ。

(5) その他の追加や削除:

今回新たに追加されたスタイルのうち,BAのガイドライン2018年版から掲載されているものとしては,

 ・コンテンポラリー・アメリカンスタイル・ピルスナー

 ・クラシック・オーストラリアンスタイル・ペールエール 

の2スタイル,BAのガイドライン2019年版から掲載されているものは

 ・フランコニアンスタイル・ロートビア

 ・コンテンポラリー・ベルジャンスタイル・グーズランビック

の2スタイルがある。クラシック・オーストラリアン・ペールエールはオーストラリアではポピュラーなもので,オーストラリアの審査会AIBAでは,かつてよりスタイルが定義されてきた。

これらに加え,今回の改訂で新たに加えられたものとして

 ・ベルジャンスタイル・スペシャルティ・エール

 ・ノンアルコール・ビール

の2スタイルがある。ノンアルコール・ビールは,BAのガイドラインでは古くから定義はされていたが,World Beer Cup のガイドラインには含まれておらず,故に日本版にも含まれてこなかった。今回追加された背景には,米国でも商用サンプルが増えてきたことが挙げられるのかもしれない。コロナの影響でノンアルビールの売れ行きが伸びているらしいが,ガイドラインの改訂はコロナ以前から始まっているので,多分それは関係ない。

それと,今回から姿を消したスタイルとしてアメリカンスタイル・アイスラガーがある。なぜ消えたのか,理由はよくわからない。これが含まれるスタイルが新たに定義されたようにも見えないので,あまり作っているところが無いのかもしれない。それを言ったら,ヒストリカル・ビールの中には,ニッチなものが割とあるようにも思うんだけどね。


さて,最初にも述べた通り,ビアスタイルガイドラインは,本来,審査などで使用するためのものだが,手元にあると,実際にビールを楽しみながら味や香りを吟味することもできる。ビールの種類についてより理解を深めることで,楽しみ方の幅も広がるかもしれない。それほど高価なものでもないし,日本地ビール協会のオンラインショップから誰でも気軽に購入できるので,興味のある方にはぜひ入手をオススメしたい。


それと,それぞれのビアスタイルの歴史やなりたちをもっとよく知りたいという方には,僕の翻訳した本「コンプリート・ビア・コース」もオススメ。

米国や日本の実際の銘柄も数多く紹介されているので,実際にそのビールを味わいながら理解を深められる。こちらは価格は少し高めだけれど,情報量が圧倒的だし,1〜2回飲みに行くくらいのコストで一生モノの知識が手に入る!こちらもご贔屓にどうぞ。(決して露骨な宣伝ではない)

amazon.com 等からご購入いただけます(露骨な宣伝ではない,つもり)。


ということで,ぜひ up-to-date なビールの世界を覗いてみてください。

いつの日か世がビアスタイルにつれるような日が訪れることを祈りつつ,カンパイ!


2020年4月22日水曜日

長い言い訳

新型コロナウイルスの影響で,オンラインで会議をする機会が増えている。それに,学校ではオンライン講義も普通に行なわれ始めている。ウチのガッコも現在,万が一(いや,十が一,いや,もっと,ごにょごにょ...)の場合に備えて準備が進んでいる。それに巷ではオンライン呑み会なんてのも開催されている。ボクも今晩,その予定が入っている。

さて,そりゃ便利よねぇ…と思う方も多いだろう。たしかに便利。

でもね,ちょっとした恐怖がひそんでいるよ。

これ,ネットにつながりさえすれば,時間と場所を選ばずに呼び出される。世界中どこにいても。ま,寝るときは切っときゃいいわけだけど。

別にこんなこと,今に始まったことではなく,もう10年近く前になるけど,ボク自身も駅のホームで海外の共同研究者とSkypeで打合せ,なんとことをやったことがあるし,この3月にも子供を連れて外出中に歩きながらTeams会議なんてことをやってたもんなぁ。そういや,温泉から授業してた人もいたっけなぁ。

でもね。人間,あえて居留守を使ったり,ひきこもりたいこともあるわけよ。外界とちょっとだけ距離置きたいことがあるわけ。もちろん,PCとかスマホを使わなきゃいいわけだけど,そこまでガチで接触を断ち切りたいわけでもないようなシチュエーションもあるわけよ。

さて,そんな引きこもりモードの状況で会議の案内が来たらどうするか。シカトできればシカト。でも,あとでそれなりの言い訳が必要になるかもしれない。

ということはアレだ。アナログ時代のアレだ。

自分が病気になったり,親族が死んだりするやつだ。ばーちゃんが5人も6人も死んだりするやつだ。昭和な言い訳だ。

というわけで,もしボクが「すいません,ばーちゃんの葬式で…」とか言っても,温かい目で見守ってください。ウチの祖母は30年ほど前に亡くなってますんで....


2020年4月16日木曜日

心の栄養

最近,ウチの近所の書店が閉まっていて何か寂しいなぁ,と思っていた。
COVID-19の影響でいくつかのサービスが休業に追い込まれているものの,東京都は結局,書店には休業指示を出さなかった。にもかかわらず,書店の入っているショッピングモールやビルそのものが休業に入ってしまったため,休業しているところが多いらしい。
その一方,大手のレンタルビデオ店は普通に開いていたりする。

今朝,このことで感じた違和感をfacebookに投稿した。

ボクがこの投稿で意図したことは,レンタルビデオ店を非難することでもなければ,書店が休んでいる事実を憂いているわけでもなかった。

本屋ってこれでいいのだろうか?という積年の思いが再びこみ上げてきたからだ。

実はこの状況下でも,本を買おうと思えばネットで手に入る。早ければ24時間以内にも手にできる。つまり,実店舗が開いていなくても,僕らは欲しい本と出会うことができるわけだ。

ただ,ネットで購入する場合は,特定の本を買いたいと思って探すという明確な意図があるケースが多い。つまり,我々は能動的に本に出会いに行くことになる。一方,かつての書店では,ぶらぶら棚を見て歩いて,思いも寄らない本や作家に出会うことがあった。それがマイナーなもの,マニアックなものであればあるほど,自分だけが知っているような幸せに浸ることができた。つまり,受動的な態度であっても本との幸福な出会いができたわけである。(もちろん,ネットでも同じようなことをすることは不可能ではないが,実店舗の床面積に比べてサイバー空間の広さは遠大すぎて,心が折れかねない....)

しかし都心の大きな書店を除けば,特に地方の小さな店舗やチェーン店では,そういう出会いが難しくなっている。店頭に並べられる本は画一化され,マジョリティーにアピールする安定な品揃えになっている反面,上に述べたような意外な掘り出し物に出会う確率はとりわけ低下していると言わざるを得ない。まぁ,これはここ10年,いやそれ以上の間長く語り尽くされてきたことではあると思うけれども。

同じことがCDショップなどについても言えるだろう。ボクもかつては,意外な出会いを求めて店舗の棚を漁ったものだが,今はネットで試聴して気に入ったものをポチッと買うことが圧倒的に多い。さらに,音楽の場合はもっと問題は深刻で,ストリーミング配信の利用や,アルバム単位ではなく1曲単位で購入するのも当たり前だから,ますます実店舗の足元は危うくなっているように思う。

と,ココまで来てふと気がついた。ビデオも同じか。

ビデオもVODや,さらに言えばネットオンリーのコンテンツなんかも増えているし,子どもたちはYouTubeだけで満足していたりもするから,実はレンタルビデオ屋の支持基盤も危ういのだな。そりゃ,この状況でも店舗,閉められないわ。

ということで,冒頭のボクの違和感はなんとなく,自己解決しました。

でも,数多ある中から,自分だけがこっそり見つけたようなマニアックな幸せ,感じたいよねぇ...


2020年2月25日火曜日

マスク

ジム・キャリー主演の映画とは違う(古いな)。

もともとこの国ではマスクをした人が多い。
普段,マスクをする習慣がないし,だからといって何か大きな支障が出た記憶がないので,電車の中で座席に座った人のほとんどがマスクしてスマホいじってんの見たりすると,異様な光景に見える。

新型コロナウィルスの影響で,このマスク神話がさらに加速しているように思う。

正確な情報を確認してよく考えてみたらいい。

そもそも,一般的な不織布のマスクでは,ウィルスを含んだ唾液などの飛沫の侵入は防げるが,ウィルスそのものの侵入は防げない。自分にせきやくしゃみが出る症状があり,それを飛散させないようにするためにエチケットの一部としてマスクをするのは理解できるが,そもそもそんな症状があるんだったら外出しないほうがいい。

じゃ,マスク人口がこれだけ多い現状は何かと考えると,その全員にせきやくしゃみの症状があるとは考えにくいので(そうだとしたら,報道されている以上のパンデミックだ),僕が思うに,単に「なんとなく」だ。

なんとなく,マスクしてると安心だから。

アホか。

ここまで無知な人が多いと呆れるのを通り越して腹が立ってくる。

今回の騒ぎで,大規模なイベントなどが軒並み中止となっているが,開催する場合でも主催者側はマスク着用が義務付けられるケースが多いようだ。

事実,ウチの学校の入試でも試験監督には全員マスク着用が指示された。

ただ,これも科学的根拠は何もなく,言ってみれば単なるスタンドプレーだ。「私達は感染拡大を防ぐよう,配慮していますよ」という意志を示しているだけで,それ以上の効果は何もない。感染症を予防するのではなく,外部からの科学的根拠のないクレームを予防しているだけ。そもそも,入試で教員が全員マスク着用するなら,学生に対する普段の授業でもマスク着用が義務付けられるのが筋だが,それが指示されないということは,在校生はどうでもいいのか?というのが甚だ疑問だったりする。ま,そういう意味でも,入試という特別なケースを想定したスタンドプレー以外の何物でもない。

そう,単に外向きの体裁を保っているだけ。だけど,イベントの主催者としては仕方がない。だって,クレームつけられたら困るからさ。

そもそも,正確な知識も持たない,科学リテラシーの低いクレーマーがいなければ,そんな見かけだおしの対応をする必要もなくなる。

もともと,日本という国は他国に比べて科学リテラシーが低いと思っていたけれど,個人的には今回の騒ぎで,それが如実に露呈していると思うんだよね。

ホントに心配だったらガスマスクでも買えよ。とかいうと,ここの国民は本気でやりそうだから怖い。

マスクしたって,謎の怪人に変身できるわけじゃない。本当の病人だと思われるか,雰囲気だけで満足している頭の悪い人,と思われるだけ。

バカだと思われたくなければ,今すぐマスクを外して表に出よう。

ウィルスを防ぐためには,手を洗わずに食事をしたり目をこすったりするのをやめて,外出や食事の前後によく手洗いをすることだ。

考えたら,わかるだろ?


2020年2月16日日曜日

コロナ

僕は全国高専プログラミングコンテスト(以下,高専プロコン)の実行委員を引き受けている。もう12年近くも委員を続けていて,どうやったら足を洗えるのかわからない感じにもなっている,とよくこぼしていたりする。委員会の中でいくつか役割があるのだけれど,一番重要な任務は国際大会の開催についてだったりする。

高専プロコンは15年くらい前から海外の大学生チームを大会に呼んで,NAPROCK 国際プログラミングコンテストというのを開催してきた。

プロコンに参加した日本の高専チームは国際コンテストにも自動的にエントリーした形となり,国内のプロコンと同時に審査が行われる。国際プロコンでは海外チームと高専チームを交えて審査が行われるので,日本の高専チームの順位は変わらないが,そこに海外チームが加わる形になる。もちろん,海外チームの評価が高ければ高専プロコンの優勝チームでも国際大会では上位に入れないことも可能性としてはあるが,逆に高専チームの作品評価が高ければ,高専プロコンの上位チームが国際大会の上位入賞も全部持っていく,ということも十分にあるというわけ。

ただ,この形ではなく,本当に海外で英語を公用語として国際大会を開催したいよね,というのが関係者の悲願であり,数年前から準備を進めて,この3月にベトナムのハノイで国際大会を開催することを企画していた。日本からの参加チームは昨年の10月に都城で行われた高専プロコンの上位チーム。そこに同様に各国(基本,アジア)の代表チームが加わるという形で実施される予定だった。

そう,予定だった。

今日,大会の主催団体であるNAPROCKは,ハノイで予定していた第11回NAPROCK国際プログラミングコンテストを中止することを決定した。理由は,コロナウィルスの蔓延により,安全に大会を運営することが難しいから。公式なアナウンスは NAPROCK の公式ウェブサイトに掲載されている。実は,特に中国と国境を接するベトナム政府側が,感染者のいる国からの入国を制限し始めたということで,これが決定打になった形である。実際に入国ビザが発給されないケースもあった。

僕自身もここ2年くらい,実際に現地ハノイに行って関係者と打ち合わせや視察を繰り返していたし,大会準備も進めていたので,残念でならない。

ただ,来年3月に第12回大会を同じハノイで開催する計画も公表されているので,今度はそれに向けて準備を始めることになる。今回,開催にあたって諸準備をしてきているので,今度はゼロからの開始ではないから,順調に準備を進められればいいなぁと思っている。ということで,今年の10月に北海道の苫小牧市で開催される全国高専プロコンが,第12回国際大会の日本国内予選を兼ねるという位置づけになる。

ちなみに今回の第11回大会は中止ではなく,今回出場予定だったチームは,ある条件を満たせばすべて表彰することも公表されている。

個人的にはコロナウイルスによる肺炎っていうけど,単にちょっとたちの悪い風邪くらいの認識なんだけど,それでこういう結末になるとは思ってなかったねぇ。

ということで,3月中旬の僕の予定はポッカリ空きましたとさ。


2020年1月1日水曜日

N

♪いつも一緒にい〜たかぁった〜♬

それは「M」...
と、つかみはこれくらいにして.....

実家の両親が携帯以外はほとんどネットを使わなくなったので、去年の夏に某N社の光回線を解約した。

そうすると、某N社から光回線用のONUを返却するための袋やら返信用伝票やらが送られてきたそうだ。

で、ウチの両親としては、これかなー?という機器を入れて返したところ、督促状が送られてきたそうで、意味がわからずN社に問い合わせたらしい。すると、本来返却するはずの機器でなく、別の物品が送られてきたとの由。

今回、実家でその話を聞き、送られてきた書類をよく見たところ、回線を切断するための器具を使って、自力で壁から生えている光ケーブルを切断してONUを壁から取り外し、それを送り返せという話だそうじゃないのよ。

最近は光コンセントが主流だと思うので、簡単に外せるわけだが、古い機器は壁からケーブルが直接ONUに接続されており、簡単には抜けない。いや、厳密には本体のカバーを外して中の光ジャックを直接抜けば抜けるんだが、レーザー光を直接見る恐れがあるので、それは絶対にやるなと書いてある。ま、そりゃそうだよな。

というわけで、説明書に書いてある通り、壁から10cmくらいのところで指定の器具を使ってケーブルをカットしたところ、自動的に切断箇所にターミネータが接続されて作業終了。

たださ......

これ、結構年寄りにはハードル高すぎないか?
説明書を読むと、「指定以外の機器を返却しないようにご注意ください」的なことが書いてあるけど、そりゃそうだろうよ。こんなん読み解けない年寄りいっぱいいるだろ?たぶん、同じような事象が日本中のあちらこちらで起こっているんだろうよ。それに気づかないのかねぇ。気付いているけど、対応しないのかねぇ?リストラしたくても首を切れない社員のために仕事を増やすのが目的で、わざと改善しないのかねぇ?(←ちょっと本気でそう思い始めている)

これだから親方日の丸は困る。殿様商売もいいところだろ?

多分、やつらの辞書にはカスタマーサポートなんていう単語は載っていないんだろう。いや、載っていたとしても、世間一般とは違う定義が書いてあるんだ、きっと。そうに決まっている。

まぁ、いいわ。個人的には利害関係ないし。
ただ、少なくとも、あの会社のせいで正月早々気分悪いわ。

ダメだ、あの会社。

あの会社には卒業生もいるし、仕事柄、人事担当の人も何人か知っているけれど、ダメなものはダメだ。これが一般消費者の生の声だということを心に留めてほしいね。


2019年11月29日金曜日

2020

今週の火曜日から,鹿児島県は霧島温泉で開催された第42回情報理論とその応用シンポジウム(SITA2019)に参加していました。

研究成果の発表もそうだけれども,今年のボクの最大のミッションは,来年開催されるSITA2020のプロモーション。

来年の第43回情報理論とその応用シンポジウム(SITA2020)は,ボクが実行委員長で北海道は登別温泉の登別万世閣で開催されます。会期は2020年12月1日(火)から4日(金)まで。新千歳空港からバスで登別温泉街まで参加者の皆さまをお連れする予定です。

すでにいくつかの企画を実現すべく,動き始めています。

情報理論にとどまらず,情報通信,機械学習,信号処理など,多くの分野の方々の参加をお待ち申し上げています。

一年後,冬の地獄谷でお会いしましょう!


2019年11月22日金曜日

Temple

12月3日からベトナムのダナンに行く。

通常,ベトナムは15日間であればビザ無しで入国できる。ただし,前回ベトナムを出国してから30日以上間隔が空いていること,という条件がある。この条件が意味するところは不明だが(運び屋対策?),ボクは前回ハノイから帰ってきたのが11月7日だったので,今回,ビザが必要になってしまった。3日間しか行かないんだけどねぇ。

ということでビザ申請をした。オンラインでもできるという話だったのでトライしたが,なぜかあるページから先に進めない。何度試してもダメ。

よくわからないので,大使館に電話してみたら,混み合っているというメッセージの後,突然,回線遮断。

そのままお待ち下さい的なオプションはないのかよ!
とは思ったが,めげずにメールで問い合わせてみた。

その日のうちには返事は来ず。
まぁ,こんなもんだよねー,と思っていたら,翌早朝にメールが。

   お客様、
   ベトナム大使館で観光ビザ申請必要です。(郵送申請可能)
   必要な書類はパスポート、申請書(テンプルファイル)、写真2枚

   基本的に問題がなければ当日受領できます。

   Consular section

て・・・・テンプルファイル?

・・・寺?

・・・こめかみ?

・・・あぁ,「添付」ね。
というわけでテンプルファイルに必要事項を記入。

で,あんまり時間の余裕もなかったし,郵送だと日数かかりそうだった上,奇跡的に半日時間が空いたりしたもんだから,大使館,行ってきました。結構な人数待たされたが,申請から30分程でビザ受領。

郵送だと5営業日かかるとか書いてあったんだけど,これ,来た方が圧倒的に早いな。

というわけで,みなさんも必要になったらテンプルファイルに記入して申請するといいですよ。

追伸:ウチの学校は,メールへのファイルテンプルは禁止です。
                        情報セキュリティ推進委員長

2019年11月20日水曜日

告知とお詫び

告知が2件,お詫びが1件あります。

まずは告知その1。

米国のビアライター,Joshua M. Bernstein による"Complete Beer Course" という本があります。2013年に出版されたこの本は,この手の書籍としては異例の10万部に及ぶ売上を全米で記録しているそうです。

この度,この本をボクが翻訳したものが出版される運びとなりました。

「コンプリート・ビア・コース ― 真のビア・ギークになるための12講」

という本です。本文300ページを超える書籍ということで,翻訳作業に3年,その後出版にこぎつけるまでさらに1年を費やしたという労作です。図版も数多く収録されオールカラー版になっています。

内容は,さまざまなビアスタイルについて歴史や現代の米国における傾向などを,実際の銘柄のサンプルを取り上げながら紹介したものです。取り上げているビアスタイルは70近く,本の中で写真入りで紹介している銘柄は150ほどに及びます。日本のクラフトビールに関する記述もあり,常陸野ネストビール,ベアードビール,富士桜高原麦酒,伊勢角屋麦酒,ヤッホーブルーイングなどが紹介されています。また,スタイルごとの銘柄リストには,ボクの方で原著にはない日本の銘柄も数多く追加しています。

さらにビールのテイスティング法や貯蔵のコツ,フードとのペアリング,なども紹介されています。ボリュームはありますが,軽いタッチで楽しく読めると思います。

フルカラーで300ページもあるボリュームなので,お値段はそこそこですが,ぜひ手にとって,お買い上げいただけると幸いです。

公式の発売日は 12月12日に決まりました。現在,Amazon などで予約受付中です。Amazonの書籍ページへは下記 QRコードからもアクセスできます。


次にお詫びです。

一部では,この本の発売日が11月8日と告知していましたが,その後12月2日に修正され,最終的には12月12日となりました。これ以上遅れることはありません。楽しみにしていた皆さんにはお待たせすることになり,大変申し訳ありませんでした。およそ1ヶ月ほどの遅れとなりましたが,この間に本の内容はブラッシュアップされていますので,皆さんには大いに楽しんでいただける出来になっていると思います。


最後に告知その2です。

この本の出版を記念して,イベントが行われます。

まず,出版される12月12日の夜に下北沢の本屋B&Bさんで


というイベントを行ないます。私の翻訳本と『今飲むべき最高のクラフトビール100』を書かれた長谷川小二郎氏とのジョイントイベントです。当日は,本の即売やサイン会も行ないますが,私は「旅するビアスタイル」というタイトルで,この本に出てくるビアスタイルや,一部本に載っていないものも含め,世界各国の状況と合わせてお話しします。これからの寒い季節にピッタリのビールを楽しみながらお聞きいただけます。ぜひご参加ください。予約はこちらでお願いします。

また,この週の土曜日,12月14日にはこの9月に横浜に誕生したばかりのブルワリー,REVO BREWINGさんを会場に,


というイベントにも出演します。ここでも本の紹介と即売,サイン会などを行ないます。このイベントは『発酵野郎!』を上梓された伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長とのジョイントです。さらにはサッポロビールから4月に発売された「SORACHI 1984」を造られたビアデザイナーの新井健司さんもお招きし,パネルディスカッションを行ないます。伊勢角のビールとSORACHI 1984の他,REVO BREWINGさんのビールもお楽しみいただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

この他,随時全国各地で出版記念イベントを実施する予定です。年明けには静岡や松本での開催を計画しています。詳細が決まりましたら,またご案内します。

まずはこの本を手にとっていただき,一度でいいから中に目を通していただければと思います。じわじわと手元に置きたい気持ちが湧いてくると思いますよ。

ということで,ご贔屓にどうぞ m(_ _)m

2019年11月7日木曜日

勝手にしやがれ

政府の作成する公文書等で、日本人の名前を英文表記する際、姓−名の順とすることが定められたそうだ。報道もされたし、ウチの学校においてはご丁寧に本省からの通達もあった。

くだらねえ。

この件については、人によっていろいろな捉え方があるだろう。
賛成意見もあるだろうし、反対意見もあるんだろう。
僕は、反対も賛成もしない。
ただ、こんなことを国としてわざわざ表明するこの国のやり方が単純にくだらないと思うだけ。どうだっていいだろ?こんな話。

あえて言えば、どちらかというと嫌悪感を覚える。
なぜなら、この国の政府は、国民個人を同定する記号としての名前を表記する上で、一個人としての記号ではなく、「家」を象徴する記号の方を重視するように聞こえるからだ。

繰り返すが、そういう違和感を覚えるものの、別にどうでもいいと思っている。
こんなくだらないことに労力をかけるこの国のやり方がひたすらくだらないと思うだけ。

僕には海外の研究者やビール醸造家など、外国人の友人が数多くいる。
彼らの中には、僕のことを名前で呼ぶ者もあれば、姓で呼ぶ者もいる。
だからといって、別にこう呼んでほしいなどとは特に思わない。
どちらで呼ばれても自分の顔や立場と紐付けされた記号には違いないからだ。

海外にいる僕の共同研究者は、若い頃書いた論文では誤ってgiven nameの方が著者名として認知されてしまい、今でも当時の論文はgiven nameで引用されることが多い。今は本人も積極的にfamily nameの方で特定されるように注意しているようだが、どちらで引用されようとも、彼本人、一個人としての業績には違いないし、本人を知っている僕らにとっては、どちらで表記されようとも、彼の顔を思い浮かべてその業績を特定するので、別にどちらで表記しようがどうでもいいのだ。

こんなこと、国がああしろ、こうしろなどというような性格のものでは決してない。

だから、今回の話は国が作るどうでもいい公文書に、名前さえ乗っていればいいどうでもいい個人を特定する際のルールをわざわざ決めただけだろうと思っている。

僕自身は海外の友人から、どちらで呼ばれようとも別に何とも思わない。
どう、呼ばれようが、僕は僕だ。
今までも、これからも。

ほんっとくだらねえ。

2019年10月28日月曜日

20年

先週,10月20日から24日まで,中国の広東省東莞にある東莞理工学院で開催された国際会議 IWSDA'19に参加してきた。この国際会議は,通信のための信号設計とその応用に関するワークショップで,2001年に第1回が開催されて以来,今回で9回目になる。中国ではこれが4回目の開催,それ以外では日本で4回,インドで1回開催されている。


実は,僕はこの会議の皆勤で,9回の会議すべてに論文が採択されて出席もしているのは,どうやら一人だけらしい(ただ,僕の場合もうち1回は筆頭著者ではなく,学生との共著だが)。

というわけで,どうやら僕はこの会議においては重要人物の一人らしく,たびたび名前はアナウンスされるわ,会議に組み込まれていたHuaweiとの夕食会では,学長やHuawei関係者と同じ席に通されるわ,とナゾな歓待を受けた。ま,その分,また仕事しろということなんだろう。

これまでも僕は2009年に福岡で開催された第4回,2013年の東京での第6回,2015年インドでの第7回でプログラム委員長,前回2017年札幌開催された第8回では実行委員長を共同で努めているから,まぁ,ここではVIPなんだろう。ちなみに,次回も何かよろしくね,なんてことを言われたからきっとまた何か仕事が降ってくるに違いない。

ちなみに次回は2年後の2021年でこのワークショップが誕生してちょうど20年の契機。場所も初めてアジアを飛び出して英国のエセックス大学での開催が決定している。

ちなみに今回,会議のエクスカージョンでは,虎門鎮のアヘン戦争博物館のほか,Huaweiが東莞に建てた新社屋にも行くことができた。ただ,中までは見られず,Huaweiが城を建築したとかチマタでささやかれている施設を眺めるだけだったんだけど....


金持ちの考えることはわからん....

2019年8月20日火曜日

深読み

伊勢角屋麦酒の鈴木成宗社長の著書「発酵野郎!」(新潮社)が出版されている。
すでに大きな注目を浴びているが,ボクもじっくりと読んでみた。2回。
1回はまず通しで。2回目は気になったところをチェックしながらじっくりと。

鈴木さんは日本のみならず海外でも活躍するビアジャッジでもあり,僕も海外の審査会で度々ご一緒させていただいている。僕が主催するビアジャッジングの勉強会に参加していただいたこともある。鈴木さんの車で伊勢を案内していただけたのはもう7年くらい前になるかな?歳もほぼ同じ(鈴木さんが1コ上)なので,それなりに親しくさせていただいているつもりだ。

通しで読んで思ったのは,鈴木さんはやはり学者肌だということ。事実,社長業の傍ら,三重大学で博士の学位を取られているし,いい意味でも悪い意味でも,僕らのメンタリティーに近い。多分,僕より学者に向いている。

著書の中には,僕が普段学生に言っていることや今後伝えたいことも多い。それに,ビール業界においても注目すべき内容が少なくない。

ぜひ多くの方に目を通してほしいので,僕の気になった部分を僕なりに咀嚼しながら少し紹介しよう。

まず,僕自身も学生たちに伝えたいことについて。

「ビールの世界も他のモノづくりと同じで,少しでも妥協すれば一気に味は落ちる」
これはアカデミックな世界における研究や産業界における開発でも同じだ。研究やものづくり,うちの学校でいればロボットコンテストやプログラミングコンテストなどに携わる学生たちにはぜひ肝に銘じてほしい。

研究に役立つという意味では,次のような記述もある。鈴木さんが学生時代に恩師からいただいた言葉だ。
「最善をつくすために考え尽くしたのか?必要な材料を集めたのか?当てずっぽうでやるな。ファクトにもとづけ。」
研究や開発は事実の積み上げに基づく。特に工学においては。

努力も重要だ。鈴木さんが最初にビール醸造を始めた頃の話。
「そもそも知識がないので,文献を片っ端から読んで勉強した」
地道な努力は絶対に無駄にならない。その量が人よりも多ければ,その努力量こそが個性になりうる。

ビール造りがうまく行かなかったときの対処法について。
「経験やデータをもとに因果関係をはっきりさせるが,それらがなければ一つずつ探る」
これなんて,プログラミングにおけるデバッグそのものだし,研究や開発が行き詰まったときの対処法にもそのまま言えるだろう。

人間の成長には,その人自身の努力が重要なことは言うまでもないが,出会いも重要だ。
「多くの人は素晴らしい人や人生を変えかねない人にすでに出会っている。重要なのは自分がそれをつかむかつかまないかの差。」
僕自身も自分のターニングポイントとなったときには重要な出会いがあったよなぁと思うし,今の僕を形作っているのは大学の教員になってから出会った人たちと,彼らと共有した経験に他ならない。チャンスは自分がつかんで初めてチャンスになる。眺めているだけで何かが降ってくるような奇跡はそうは起こらない。

また,次の言葉は僕自身がかつて恩師からいただいた言葉と似ていたのでハッとさせられた。鈴木さんがある経営者から言われた言葉だ。
「あなたに足りないのは自らを過信することや」
前にもココで書いたような気がするが,僕が恩師に言われたのは「謙虚に,だが大胆に。」ということ。自信をもって前に進むべき,しかし,傲慢になってはいけないということだ。ただ,言った本人はあまり覚えていないんだそうだけど...。

学生に限ったことではないが,積極性に欠けるあまり本来の能力を十分に発揮できない人をよく見る。鈴木さんが初めて英語で海外の審査会に行ったときのこと。
「何かやりたいときには実力が伴わなくても手をあげるべき」
そのとおりだと思う。実力は経験とともに備わる。日本人が海外で活躍できない一因もここにある。出る杭が打たれるとは限らない。自信を持つことは悪くない。
こんな記述もある。
「他のビールを認めた上で「俺のビール最強」という醸造家が生き残っている」
これこそまさに,謙虚さと大胆さを持ち合わせている好例だろう。

経験値という意味では次の記述も興味深かった。
「料理は時間と分量と温度を間違えなければ誰でもできる。科学の実験だよ。」
「マニュアル通りにやれば,誰でも70点ぐらいのビールはつくれる」
僕はよく料理をするが,昔はレシピを見ながら慎重に作っていた。まさに科学実験。ただ,そのうちに勘が働くようになってきたし,自分なりのアレンジも効かせられるようになってくる。これが経験値。これは研究の世界でも同じ。最初は教科書どおりにしかできなくても,経験を重ねると独特の勘が働くようになる。それにより,他と違う何かが生まれる。これがアマチュアとプロの違いなんだろうと思う。ま,ボクの料理は家庭内のものなので,あくまでもアマチュアだけどね。

ちなみに僕は自分のことをwell-educatedな数学のエンドユーザと呼ぶことがある。その意味で興味深かったのが,次の記述。
「ビールの品質改良を突きつめると引き算と足し算。積分といえども掛け算の無限の足し算であり,掛け算は有限の足し算の集まり」
やっぱり鈴木さんは理系の研究者だ。たぶん,いい教員にもなれる。そんな鈴木さんに「小嶋センセイ」とか言われるとちょっとこそばゆい(ちなみにカタカナ表記の「センセイ」はボクの中では漢字で書く「先生」の謙譲語である。)。


ビール業界,特にクラフトビールを取り巻く状況に関しても注目すべき記述が多い。
前世紀末,いわゆる第一次クラフトビールブームの頃の状況について,こんな記述がある。
「クラフトビール文化が醸成されておらず,お客さんの舌も肥えていない」
「多くの造り手が素人だった」
「オリンピックやサッカーのワールドカップならまだしも,AIBAで金賞と言っても1000人にひとりも意味を理解していない」
などなど。今は,全国に次々にビール醸造所ができ,その数は400に及ぶ。メディアにも多く取り上げられるようになり,何度目かのブーム再来とも言われている。ただ,それでもマーケットシェアはせいぜい1%そこそこだし,新しい醸造所の中には品質に問題を抱えるところも少なくない。上のような記述は程度の差こそあれ,依然としてそのまま今の時代にも当てはまるのではないだろうか?

そして彼はこうも書く。
「狭い市場を狡猾に取り合うよりも,パイを大きくすればみんなが幸せになれる」
僕もそう思う。というか,これこそが健全な自由競争の下地になるんだと思う。ちなみに研究においても,僕らが論文を発表するのは,思想を共有(シェア)することが目的であってまさにこれに当たる。情報共有の果てに発展がある。


伊勢角屋麦酒は今では世界的な評価も手にし,出荷数も右肩上がりで成長を続けているが,そのような状況の中でも鈴木さんは新しいチャレンジをやめない。
「日本らしさを前面に打ち出したビールをつくってみたい」
とのこと。実は,ボクなんかも時々,「そろそろ日本独自のビアスタイルを作ってもいいのではないか?」と話すことがある。ただ,ビアスタイルは明確に定義された「ものさし」でなければならないが,おそらく,ここで鈴木さんがおっしゃっているのはもっとアナログというか情緒的なものなんじゃないかと想像する。日本のブルワリーの中には日本固有の副原料を使ったり,伝統的な味付けにあったビールを模索したりする動きは確かにある。でも,そうではなく,日本人にしかわからない「日本風」なもの,がビールで表現できたらおもしろいなぁ,と思う。ぜひ,鈴木さんには挑戦していただきたい。たぶん,ビアスタイル的にはどこに入れていいのか迷うものになるだろうけど。


ということで,書籍全体を2度にわたって通読したが,非常に楽しく読むことができた。ぜひ,みなさんも手にとってみてほしい。ビールに興味がなくても,未成年の学生さんでも,必ず何か,感じ取れることがあるはずだ。

ちなみに,秋にはボクの本も出る予定です。
これについてはまた別の機会に。


追記:巻末にはビールの醸造プロセスやビアスタイルに関する補足があった。
ポーター(イギリス発祥の黒ビール)のところでは,ポーターはローストした麦芽を用い,一方,アイルランド発祥のスタウトは発芽しない大麦を焦がしたローストバーレイを一部使用すること,さらには,これの二つのスタイルについて醸造家の間でも両者の線引きが曖昧,であると書かれていた。やっぱ,そうですよねー。


2019年7月21日日曜日

オクトパシー

この6月,7月は何だかすごく忙しかった。
ウチの学校は4年生で企業や大学でのインターンシップが必修で卒業要件になっている。全員が最低10日間の実習を行なうことが必要。今年は4年生の担任をやっているので,かなりの時間を企業と学生のマッチングや学生の履歴書など提出書類の確認などに費やした。

ちなみに僕の仕事の中心はやっぱり研究と授業。これは一つと数えよう。それ以外に4年の担任。この他にもウチの学校の中でそれなりに責任のある仕事を2つ引き受けている。つまり,学校の中の仕事は4つ。負荷は4等分ではないけどね。

一方,学校の外での仕事もある。全国高専プログラミングコンテストの委員がその一つ。それ以外にも学会関係で負担の重い仕事を2つほど引き受けている。それにご存知のかたも多いと思うがビ◯ル関係のものもある。

ということで,数えてみたら8足のわらじ。

タコじゃん。


2019年7月6日土曜日

質問の妙

NHKのスポーツ中継を見ていて思うことがある。
(今,ウィンブルドンの中継を見ながらこれを書いている。)

NHKのスポーツ中継アナは,ときどき,解説者から視聴者に向けて言ってほしいコメントを引き出すような絶妙な質問を投げることがある。これは特に,その競技に明るくない視聴者に対しては,試合の流れや見どころを理解する上でこの上ない助けになる。単に事実を伝えるだけでなく,スポーツ中継という映像コンテンツに対して,すばらしい付加価値を与えていると思う。特にテニスやサッカー,ラグビーなどで顕著だ。

おそらく,アナウンサー自身が,そこを指摘することができる程度の深い知識を持っている。だから,解説者からそのコメントを引き出す質問ができる。本当にプロの仕事だと唸らさせることがある。

なぜか,民放のスポーツ中継を見ていてそれを感じることはほとんどない。というか皆無。なにが違うんだろう?

実はこれって,僕らが入試で行なったり,ウチの学生たちが進学や就職で受ける面接と似たところがある。いい面接官は,受験者から聞きたいことを引き出すような質問,受験者が言いたいと思っている答えを引き出すような質問をする。それによって,その受験者にとっても悔いがなく,面接者にとっても必要にして十分な内容を引き出すことができる。これによりフェアな選抜が行なわれる。

NHKのスポーツ中継では,アナウンサーと解説者のやりとりで,そういうツボを感じることがしばしばある。深読みし過ぎかなぁ?と思わないでもないけれど,僕らが受験生に質問する場合には,そういうところを狙っていたりするから,ひょっとしたら同じようなことを気にかけているんじゃないかと思うこともあるし,中継を見ていて,明らかに,「あ,ここ,やったな?」と思うポイントがある。

ホントのところはどうなんだろうねぇ。

僕の深読みしすぎ?

それとも,職業病?


2019年7月5日金曜日

再生

今日,仕事で使っているMacBookAirに異変が。

一瞬,動作が異様に遅くなったので,キモチ悪いからとりあえず再起動をかけてみた。

で,立ち上がってみると,画面上のアイコンが異様に小さい。ポインタなんてどこにあるかわからない。解像度が異様に高くなっているらしい。

こちとら老眼なんだから勘弁すれよ

というわけでディスプレイの解像度を変更しようとしてみると,2880×1800しか選べない。つまり,どうしようもない。さらにはオーディオ出力も見つからないとか言われている。

うーむ,これはおかしい

ということで,時間ももったいないのでサポートに電話。
で,指示を受けながらいくつか試してみたんだが解決せず。

結果的にどうなったかというと,OSの再インストール。
ま,ディスクをまっさらにするわけではなかったのでデータは残るんだが,怖いので,大事なものだけ一旦避難して再インストール。

勘弁すれ

というわけで,図らずも残業と相成りました。

再インストール中にいろいろ用が足せたからいいんだけどね。

何だったのかなぁ....


2019年6月9日日曜日

民泊

この一週間,カナダはバンクーバーに出張で来ていた。目的は第14回有限体とその応用に関する国際会議(Fq14)に参加するため。

航空券とホテルは3ヶ月近く前に確保していたのだが,バンクーバーのホテルはかなり高い。特に会議の会場であるSimon Fraser University のウォーターフロントキャンパス周辺はとんでもなく高い。ということで,ネットで探して,電車で30分くらいのリッチモンドという地域にあるアパートタイプの宿を確保していた。

ところが,ホテルをブッキングした後,届いたメールにはこんな一文が書いてあった。

このホテルにはフロントがありません。
宿泊前に事前に直接連絡してチェックイン方法を確認してください。

....なんやと?

まぁ,そんなこともあるのかねー,くらいに思って2, 3日前に電話すればいいのかいな?くらいに思っていた。ただ,ホテルを予約したサイトからテキストチャットができそうだったので,とりあえず連絡してみた。

俺は宿についたら,どうすればいいんだ?

と。
すると結構電光石火にリプライが届き,次のように指示された。

フロントドアにあるキーパッドで#XXXを押し,
建物に入った後,16階の16YY室が部屋なので,
ドアのキーパッドでパスコードZZZZを押したら部屋に入れる。
部屋に入るとテーブルの上にカードキーが置いてある。

なんか,秘密工作の指示みたいだ....

で,ホテル前に着き,ドアのそばにあるキーパッドで指示された#XXXを押すと呼び出し音が鳴るものの,ドアの鍵が開く気配はない。何度か繰り返すが同じ。

んんんん,困ったなー

と思っていたら,中から出てくる人がいたので,無事,建物には侵入。

ということで,エレベーターで16階に上がる。
自分に割り当てられた部屋16YYを見つけると,そこにはこんなキーパッドが。


ということで,教えられたパスコードZZZZを押すと中に入れた。
部屋に入るとたしかにテーブルにはカードキーが置いてあり,

(ちなみに,このテーブルクロスも微妙...)

なるほど,次からはこれで入れるのね?と納得はできた。

でも,建物のフロントドアは開けられないままだよねー,と不安になったので,部屋からネットに繋いでまたチャットで聞いてみた。

偶然,建物には入れて部屋までは来たけど,建物のドアの開け方が
イマイチわからんのよねー

と聞いてみたら,これからロビーに行って教えるから,そこで会おうと。

ということで行ってみたら,中華系のオバちゃんが参上。
で,建物のドアの開け方も教えてもらったのだが,次からはカードキーをスワイプすれば開くと。何だよ,じゃ,このカードキーが全部解決するのね。
と思ったら,これまた違うらしい。

与えられたカードキーは,建物のドアと,プール,ジム,ホットタブ(共同のジェットバスみたいなやつ)に入るために使い,部屋に入るときはキーパッドでZZZZを押せと,

えー,まじーー。

で,後から気がついたのだが,この設備はいわゆる高級ホテルの一室で,そこをこのオバちゃんが買い取っているだかリースで借り受けているだかして,民泊みたいに又貸ししている物件のようだった。確かに上のドアの写真にも "PRIVATE" って書かれていたっぽい痕跡が残っている。

で,1階まで降りれば,廊下を伝ってホテルのロビーまで行けるので,フロントドアが開けられなくても,ホテルの正面玄関から入れれば,自分の部屋までは行けるので,ぶっちゃけ,建物のドアの横にあるキーパッドで #XXX なんて押す必要はなく,自分の部屋のパスコードZZZZだけを知っとけばいい。

だったら,最初っからそう言おうよ。

さらに,このホテルの通常の宿泊客はカードキーで部屋も共同設備もドアもすべて開けられるのだが,この民泊みたいな部屋に関しては部屋に入るときだけカードキーが通用せず,パスコードが必要らしい。

部屋自体はダブルベッドルーム+ダブルバスルームでキッチンと洗濯機完備なので6泊する身からしたら身に余るくらいの設備。それなりに快適。ジェットバスも楽しかった。ただ,ホテルではないので6日間,部屋のサービスは一切入らない。チェックアウトも指定の時間までにカードキーを放置して部屋を出るだけ。

まぁ,気楽でいいけど,この手の経験は初めてかもなぁ。

さらに後から気づいたんだが,このリッチモンドというエリアはアジア系の住民が半数以上を占めるらしい。確かに部屋にもこんな微妙なカレンダーがあったもんなぁ。


それなりに長く生きてきたつもりだが,まだ知らないことは多いなぁ.....

2019年4月24日水曜日

Connected

4月の頭から,仕事で使っているデスクトップPCが学内LANにつながらないという問題が起こっていた。正確には有線LANにつながらないだけなので,とりあえず無線LANで接続し,後で問題を検証しようと放置していた。

その後いろいろ忙しく,ほったらかしになっていたのだが,さすがに連休前に何とかしようと思い,調べてみたところ,僕の部屋のネットワークコンセントが全然反応していなかった。

ウチの学校のネットワークは学校全体の基幹回線が各建物に引かれ,僕のいる建物ではそれを各フロアに分岐(A)して,僕のいるフロアでさらにこれを分岐(B)して各部屋まで届いている。少なくとも同じフロアで同じような問題が起こっているわけではなさそうだったので(A)までは正常。ということは(B)に異常があるか,あるいはそこから僕の部屋までの間に異常がある。

ということで,パイプスペースの中にあるハブを確認してみた。僕のいるフロアでは8ポートのハブが2台カスケード接続されていて,そこから各フロアに配線されている。ところが,僕の部屋へのケーブル以外はすべて1台のハブ(C)に接続されており,僕の部屋へ配線されているケーブルだけがもう1台のハブ(D)につながっていた。そこで,(D)を検証してみたら,これが完全に死んでいて反応せず。

そりゃつながらないわ。

同じフロアの他の回線を切るわけにもいかないので,自分の部屋で使っていたハブを(D)とすげ替えてみたところ,僕の部屋の回線から信号が検出され,ネットワークにも無事つながることが確認できた。

なぜ,僕の部屋への回線だけがイカれた方のハブにつながっていたのか?とか,そもそもなんで1台完全にイカれていたのか?とかいう問題は検証のしようがないが,3月末に全学一斉停電があった際に,いろいろ問題があったらしいことは耳にはさんだ。

勘弁してよ。

ということで,生きている(C)のハブには空きポートはなかったものの,どうせ死亡していて使い物にならない(D)とカスケード接続していたポートは生きているみたいだったので,(D)を外して,僕の部屋へのケーブルを接続,これで当面の問題は解決。

ただ,(C)のハブも古いし,(D)と同じ型なので,学科の経費で新しいハブを買ってもらうことにした。

結局,問題は物理的なところを最初に疑うべきなのね。